ナイトフォースといえば、NXSというスコープが有名です。
覗いたことがありませんので性能はわかりませんが、あのデザインに憧れる人も多いのではないでしょうか。
現在はアメリカのメーカーが製造を担っているそうですが、一時期ナイトフォースのスコープは日本のライト光機が製造していたと言われています。
ネットで見つけた謎スコープ
ネットオークションで「ナイトフォース」と銘打たれたスコープを見つけました。
しかし、見たこともないロゴと安っぽい箱、NXSなどのモデルとは似つかない形。
5−20×56と、高倍率でボディも大きいのが仕様から分かりますが、サバゲにはどうも扱いづらそうです。
名前が同じだけで関係ないメーカーのモデルと思いスルーしました。
素性が知れないそのスコープは買い手がつかずに終了。その後、再出品されました。
ちなみに、BB弾やガスガンを販売するSⅡSにも「ナイトフォース」という名称のスコープが存在します。
イルミレティクル搭載で夜でも使えるからこのような名前なのかもしれません。
でも、これでは無さそう。
エレベーションやウィンデージの形状、レティクルも異なります。
1,000ドル?
気になって出品内容を改めて見てみるとレプリカでも無さそうです。
そもそもレプリカならばもっと有名なモデルを作るはずです。
調べ始めると海外のネットショップでは同じようなモデルが1,200ドルで販売されているのを発見しました。
ベンチレスト射撃用のスコープのようです。
(ちなみにNXSの価格帯が1,700ドルくらいからのようです)
プリントが金色っぽいです。
ナイトフォースと書かれ、丸いロゴが見えますが、細部は違うようです。
こちらは2.5-10×50のスコープ。
黒い化粧箱に金色でロゴが入っています。
エレベーションやウィンデージのキャップが似ておりイルミレティクル仕様。
海外の個人売買サイトで中古品が850ドルの値付けで売られていました。
2014年に掲載され、買い手がついたかは解りません。
この時点ではまだどのようなスコープなのか解りませんでしたが、これらモデルの親戚みたいなものだろうと安易に思い、好奇心で入札してみました。
幸い、他に買い手はつかずオークションは終了。
程なくして我が家にやってきました。
いまさらですがスコープの通販は実際に覗いて確認ができないので失敗しやすそうです。
購入後にそのことに気づき、買えて良かったのか悪かったのかわからない複雑な心境で荷物を受け取りました。
箱が妙にインチキ臭い
レプリカのライフルスコープの方が立派なものがありそうです。
テプラで「 night Force」とあります…。
なんでテプラなんだろう…。この後から貼った感。
唯一の手がかり
「B3ZFW-52056AO」という型番のような文字
「5-20×56 R:27」という仕様。
残念ながら型番で検索しても該当するモデルが見つけられませんでした。
R:27 はレティクルの仕様でしょうか?
レティクルは上が極端に短く、下が短めの十字です。
中心の一部分が赤く光るという表示ですが、実際に光る部分はレティクル全体でした。
(ここで少し心配になる)
本体も妙にインチキ臭い
「CUSTOM SUPERB」というモデル名ともとらえられそうなロゴが入っています。
ナイトフォースのロゴやフォーカスの目盛りなどが金色ではなく、黄色でプリントされています。
そのプリントも濃さにムラがあります。
あーなんか、接眼ベルのあたりにラバーのような材質がハミ出てるし…。
(ここにきて「やっちゃったなぁー…」と思う)
ただ、「MADE IN JAPAN」とシリアルナンバーはしっかりとした刻印で誇らしげです。
56mmもある対物レンズのスコープは初めてです。
対物ベルが大きすぎてハイマウント必至です。
電池収納部分はドットサイトなどで良く見るタイプです。
比較として左:中国製Mark4 3.5−10×40 M1レプリカ
右:NightForce CUSTOM SUPERB 5-20x56AO
海外のフォーラム
さらに調べを進めていると…
「nightforce custom superbはニセモノ」という指摘をする人がいました。
Nightforce Custom Superb Scopes are Fake
Google翻訳で見ると、だいたいこんな感じらしい…
・投稿者がNightforce Custom Superbというスコープがあるけど、ノックオフ(=粗悪なコピー品)であると注意喚起している
・特徴は謎のシリアルと日本製の表示
・ナイトフォース社に直接問い合わせるとシリアルナンバーで照会ができる
しかし、ナイトフォース社に問い合わせるなんて術は持ち合わせていません。
(ここにきて「わー、掴まされましたわ…」と思う)
ナイトフォースのロゴ
ナイトフォースといえば、アルファベットのNとFを組み合わせたロゴがおなじみです。
調べるとナイトフォースは過去には別のロゴを使用していました。
NIGHTFORCEの母体は”lightFORCE(ライトフォース)”というアウトドア向けのハイエンド照明器具メーカーです。
カンガルーのマークはライトフォースの現在のロゴです。
僕のスコープにも見られる円形のマークがあしらわれています。
古いナイトフォースのマークは小文字の「L」が小文字の「N」になっただけですね。
パテント
「ニューギアズームシステム」という案内が入っています。
この図を見る限り以下のようです
・一般的なスコープのパワーダイヤルには棒状の部品が刺さっておりそれを回転させることで倍率を調整している構造。
・対してニューギアズームシステムでは文字通りパワーダイヤルの下に歯車があり倍率調整をしているという構造。
この案内にはパテントナンバーが書かれています。
Japan patent No.2920592 and US patent No.5264410
この特許をネットで検索すると今は亡き日本を代表するスコープメーカー、ハッコーが2004年に取得したものだと判明しました。
でも、アメリカの特許に関する記述は見つけられなかった…。
このニューギアズームシステムは耐久性が高いことが利点のようですが、パワーダイヤルの回転が重く感じます。
(とはいえ中が見えないので本当にニューギアズームシステムか解りませんが…)
そんなに頻繁に回すものではないのですが、5倍から20倍まであると回転が大変です。
HAKKOが製作していた
ハッコーの特許ならば、もう十中八九、ハッコーが製造していると言えそうです。
しかし、このようなモデルは存在するのでしょうか?
ハッコーならばシカゴレジメンタルスさんが運営しているサイトZEROINです。
(株式会社ハッコー商事は2005年5月に倒産し、在庫が低価格でオンラインショップのZEROINにて販売されています)
いまさらですが、型番が前後で分かれていることに気づきます。
「B3ZFW」で調べると「B3」シリーズと呼ばれるモデルが出てきました。
これはハッコーの「SUPERB」というモデルの30mmチューブタイプのようです。おお!
写真はB3ZFW-4165AO
細かな仕様は異なりますが、30mmチューブやイルミネーションレティクル、そしてニューギアズームシステムなどは同じです。
また、株式会社ジャパン・オプティックスのトップページにはこのような記載があります
株式会社ジャパンオプティックス (JOL) は旧ハッコー商事 (HAKKO) の人間が中心となり2005年6月に設立されました。HAKKOのスコープの高品質さは世界各国で、過去40年に亘り広く認められているところです。当社のモットーは市場のニーズを先取りし、他社の追随を許すこと無く独創的な設計で新製品を開発・製造する事であります。当社は、本ウェブサイトで紹介されている標準品以外にも、お客様のご仕様に基づき、どの様なカスタムスコープでもお作りする用意があります。
2005年の6月というのはハッコーの倒産後となります。
さらにジャパン・オプティックスにも現行品でSUPERBというモデルが存在し、B3シリーズがあります。
トップページに掲載されている後方のモデルがそうです。
しかし、ジャパン・オプティックスでは「B3Z-*****」のように頭だけ同じですが、同じ型番や同じ倍率のものはありません。
ZEROINでは「B3ZFW-*****」とマッチする点が多いことから、
ハッコーによる旧型SUPERBをベースにした旧ロゴ時代のNIGHTFORCEへのOEMモデルという見方が強くなってきました。
コーティング
レンズは対物・接眼ともにグリーン系のコーティングでした。
これだけ見ても、コーティングがしてあるなーっていう程度しか分からず、良し悪しまでは解りませんが。
ハッコーのB3シリーズを調べると、以下のような仕様のスコープを見つけることができました。
スナイパーな雑記帳 スコープを買いましたヽ(・∀・` )ノ(2012年02月25日)
かなり仕様が似ており、筆者カクレ・クマ・スキーさんが言うにはハッコーがAUTAUGA ARMSとコラボかカスタム、OEM生産したものとあります。
余談になりますがAUTAUGA ARMSで検索するとスコープよりも32ACPを使用する護身用のハンドガンが出てきます。
中古品の販売ばかりが出てくることから現在はメーカーとして活動していない?ようです。
このような点からハッコーが様々なメーカーにスコープを提供していたのではないかと想像できます。
スコープは覗いてナンボ
さて、御託を並べましたがやはりスコープは覗かないと良し悪しが解りませんよね。
実際に覗いた像を外で撮影してきましたのでまた次回ご紹介したいと思います。
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