日本製ギブソンヘッド・ラッカー塗装 Epiphone LQシリーズ レスポールカスタム (フジゲン)

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epiphone_japan_fujigen_lespaulcustom_LQ_ ギター

これまで中国製のエピフォンレスポールカスタムを持っており、ピックアップを載せ替えたりして遊んでいたのですが、部品を交換しても木材や塗装といった部分までは交換できないことから日本製でラッカー塗装のエピフォン「LQ」を探しました。
(もちろん造りが良いと評判が高いオービルも気になっていたのですが、近年はどうも高くて手が出せないため諦めました)

その中でエピフォンジャパンのLPC-80として販売されていたレスポールカスタムを見つけたのですが、前から気になっていたラッカー塗装のLQシリーズではないかと思い購入しました。

Epiphoneの情報が調べられるサイト5選

ある程度目星がついていたのですが、生産時期が短く情報の少ないモデルであったことから以下のサイトを利用し仕様を調べました。

Wikipedia 英語版 Epiphone (工場コード)

エピフォンブランドの成り立ちはもちろんですが、シリアルナンバーに含まれる「工場コード」が紹介されています。

Epiphone - Wikipedia

The Guitar Dater Project

The Guitar Dater Project

the guitar dater project

The Guitar Dater Project

ヘッド裏のシリアルナンバーから製造工場、製造年月、製造番号を表示してくれるサイトです。
モデルや仕様を調べる際は後述のウィキをご参照ください。

The Guitar Dater Project - Epiphone Serial Number Decoder
Decode epiphone serial numbers

mylespaul.com (レスポール関連のフォーラム)

mylespaul.com

個体などについて議論がされているサイトでエピフォンについてもスレッドが立っています。

mylespaulcom

mylespaul.com

My Les Paul Forum
Les Paul Guitar Forum. Gibson and Epiphone

 

The Unofficial Epiphone Guitars Wiki Archive (モデルごとのWiki)

The Unofficial Epiphone Guitars Wiki Archive

mylespaul.comのEpiphone LQスレッドで紹介されていた非公式のエピフォンWiki。
固有のモデルについて仕様が書かれており、日本製エピフォンエリーティストについても掲載されています。

theunofficialepiphonewikiarchive

The Unofficial Epiphone Guitars Wiki Archive

http://www.epiphonewiki.org/

 

Guitar Compare (カタログ掲載サイト)

GuitarCompare

海外のエピフォンのカタログをPDFファイルで閲覧ができるサイト。
2004年から2007年までを確認しましたがLQは日本向けのため掲載されていませんでした。
また、2005年はカタログ自体が掲載されていませんでした。

guitarcompare_epiphone

Epiphone Catalogs
EPIPHONE CATALOGS Epiphone is one of American’s oldest and most revered instrument makers.  Since 1873, Epiphone has made instruments for every style of popu...

 

当時のEpiphone JAPAN 紙のカタログ

現物が届いた後、最終的に「2004-2005年」という日本向けエピフォンのカタログを入手しました。
カタログの裏表紙には「※本カタログ掲載の製品は、2004年10月現在のものです。」とあります。

Epiphone Japan カタログ 2004-2005

山野楽器 Epiphone Japan カタログ 2004-2005年

ヘッドロゴの書体、トラスロッドカバーの「GIBSON」、アンバー色のトグルスイッチノブ、ソーサーノブ、ローズ指板といった特徴から、エピフォンジャパンのレスポールカスタムLQであると断定しました。これらの特徴については後述します。

ギブソンヘッド(オープンブックヘッドストック)の「Les Paul」の種類

いわゆるギブソンヘッドや2点止めトラスロッドカバーを持つレスポールタイプ(レプリカ)のモデルでいえば代表格としては神田商会によるブランド「Greco」などがあり、再現度の高さから現在でも高い評価があります。しかし、これらは1977年のギブソンによる訴訟により市場から姿を消していったようです。

そして、ギブソン以外のブランドで公式に認められた「レスポール」と名乗ることが出来るモデルは限られており、その中でもギブソンヘッドを持つOrvilleとEpiphoneのレスポールは日本限定(JDM=Japan Domestic Market)で特殊なモデルといえます。

Orville / Orville by Gibson (オービル バイ ギブソン)

1988年から1998年まで活動していたギブソンの創業者Orville Henry Gibsonのファーストネームを冠した山野楽器によるブランド。
日本製でギブソンとエピフォンの間に位置する価格帯、製造は寺田楽器とフジゲンが行っていました。

いわゆる「バイギブ」はギブソン製ピックアップが搭載されているのが特徴です。
レスポールカスタムの仕様を抜粋して紹介します。

orvillebygibson_1993_lpc

Orville by Gibson 1993年カタログより

Orville by Gibson LPC-57B
ボディ:オールマホガニー
ネック:マホガニー
指板:エボニー
ピックアップ:Gibson 57クラシック(USA) ×2
当時税抜価格:110,000円

今回紹介する中で最もギブソンレスポールカスタムに近いモデルではないでしょうか。

画像右下の「LPC-75」はバイギブではないオービルで、オービルオリジナルピックアップやローズ指板のローコストバージョンのレスポールカスタムです。今回紹介するエピフォンレスポールカスタムLQと近いスペックといえます。

Epiphone Japan

エピフォンは1970年代初頭は日本のマツモクから始まり、1983年から韓国、2002年から中国(山東省青島)、現在ではインドネシアでも生産がされています。
韓国や中国で製造している傍らで一部のモデルは日本で生産を行っています。
この日本製エピフォンレスポールの中にギブソンヘッドを持つモデルが存在します。

Epiphone JAPAN LPC-90 LPC-80 / LPS-90 LPS-80 / LPSP-75 / LPJ-70 

1998年から2002年頃に日本で生産されていたモデルとみられ、時期からみてオービルを受け継ぐ形で生産していたとみられます。

レスポールカスタム

  • LPC-80
  • LPC-90
  • LPC-95L

レスポールスタンダード

  • LPS-80
  • LPS-95L

レスポールスペシャル

  • LPSP-75

レスポールジュニア

  • LPJ-70
  • LPJ-D70

※LPC-95LおよびLPS-95Lはレフティモデルです。
これらは塗装については記載が無いため他のラインと同様の仕上げとみられます。

LPC-80はローズウッド指板、キーストンタイプペグ(当時定価税抜:80,000円)
LPC-90はエボニー指板、グローバータイプペグ(当時定価税抜:90,000円)
共通する仕様は日本製、ギブソンヘッド、2点留めロッドカバー、現行と同じフォントのロゴ、マホガニーボディ、マホガニーネック、ディープジョイント等です。

epiphone_logo

この頃の日本向けカタログが入手できなかったため、エピフォンWikiの日本製エピフォンのページをご覧いただくと写真とともに列記されています。

http://www.epiphonewiki.org/index/Japanese_Les_Pauls.php
Epiphone Elitist(Elite)

2002年カタログから登場したモデルで2003年までは「Elite」、商標の関係により2004年カタログから「Elitist」へ名前・ロゴが変更されています。

Epiphone Japan カタログ 2002年11月 ELITE レスポール

山野楽器 Epiphone Japan カタログ 2002年11月 ELITE レスポールのラインナップ。

日本向けのものに限りオープンブックスタイルが採用されています。

epiphone_Elitist

海外向けEpiphone 2004年 カタログ  Elitist

当時のカタログではエリーティストは最も高価格なモデルとして掲載されています。
また、「Elitistシリーズの為にギブソンより製造された”USA Classic”ピックアップ。」と記載があり、ギブソンと同じではないもののより近いピックアップと想像させます。
レスポールカスタム:税抜価格138,000円

Epiphone LQシリーズ

日本国内向けにつくられたエピフォンジャパンのラッカー塗装を施したシリーズ。
以下のラインナップが存在しました。

  • Les Paul Custom LQ
  • Les Paul Standard LQ
  • Les Paul Special LQ
  • Les Paul Junior LQ
  • 61 SG LQ
Epiphone LQ

左:PLAYER 2005年2月号より。

スタンダードはブラックやゴールドトップも見かけたことがある気がします。おそらくレギュラー商品ではないと思います…。
これらのモデルは価格が横並びでリアピックアップのみのジュニアもカスタムも同価格帯です。
素人の憶測ですがハードウェアや装飾のコストが少ないモデルは木材にコストが充てられているのではないのかな…と想像してしまいます。

epiphone_lpclq_headlogo

エリーティストとLQのヘッドロゴは同様の書体

 

Maestro by Gibson(マエストロ) 

ギブソンの中国製入門向けブランド。
日本ではイシバシ楽器から2011年頃から数年間販売されていたようです。
ヘッドにはモデル名のプリントは無く、ボルトオンメイプルネック、ドットインレイを採用した当時のエピフォンよりも低価格が特徴です。

maestro by gibson Les Paul maestro by gibson Les Paul maestro by gibson Les Paul

国内ではレスポールスタンダード、SG、アコースティックギター、海外を調べるとリアピックアップのみのSGやレスポールジュニアもあったようです。
メープルネックであるためターゲットである初心者や若年層が使用時に倒したりしてネックが折れにくいと言えそうです。

 

Epiphone Les Paul Custom LQ 当時のカタログ

購入した2005年製LQと同じころに発行されたカタログ(2004-2005年)を紹介します。

Epiphone Japan Limited Line Les Paul LQ

レスポールLQ(Epiphone JAPAN 2004-2005 カタログより)

Epiphone Wikiには2005-2007年の製造期間と記されていましたが、実際に中古で出回っている製品のシリアルをいくつか見たのですが「F4*****」〜「F7*****」しか見たことがないため、正しい製造期間は2004年-2007年の4年間といえます。

また、このカタログではボディ材がマホガニー、トップ材がメイプルと記載があります。
(※Epiphone Wikiでは 「Body: ・Non-weight relieved body ・2-piece mahogany body」とありました)

ディティール紹介

epiphone_lq_custom

中古品で購入したため、すでに部品交換済の部分もありますのでご理解ください。

中古購入時の状態
・塗装剥がれ、打痕
・マグナムロック(通常はグローバー)
・CTSポット、コンデンサ交換(通常は小さいポットのようです)
・重量は体重計で計測して約4.1kg

 

ヘッド

epiphone_lq_custom_head

epiphone lq custom head serial

epiphone_lq_custom_headangle

・オープンブックスタイルのヘッド
・丸みのある書体のEpiphoneロゴ
・「GIBSON」の文字入り2点止めトラスロッドカバー 
・Fから始まるシリアルはフジゲンによる製造

「ビンテージ・リイシュー・モデルに準じた木部形状」というのはヘッドの角度のことでしょうか…自分の知識不足でどの部分を示しているのか解っていません。

ディープジョイント

ネック材がボディのピックアップ後ろまで伸びて接続されているもの。ネット上の写真を見るとここに「LQJ」という黒いスタンプや「H」と白く書かれているものもあるようです。

epiphone_lq_joint

Epiphone LQのジョイント部分。

これによって大きく音が変わったりしないという意見もありますが、本家に倣った構造は嬉しいですね。

 

参考:エピフォン2009年レスポールカスタム

epiphone_lpcustom_qingdao_2009_joint

以前持っていたエピフォンレスポールカスタム (2009年青島工場製)のジョイント部分。導電塗料が塗られていた。

 

ピックアップ

epiphone_lq_custom_pickup

ギブソンスペックに基づいたEpiphoneオリジナルピックアップと書かれてます。
しかし、呼称は無いのかカタログには「Epiphone Original Humbuckers」とだけあります。
アルニコ5マグネットを使用し、国内で製造されているとのこと。

epiphone_lq_custom_pickup

ブリッジピックアップには前のオーナーの文字が。

epiphone_lq_custom_pickup_bridge

 

LQシリーズのラッカー塗装は「アクリルラッカー」

epiphone LQ custom paint

経年によるウェザーチェックに憧れ、ラッカー塗装をアピールしているLQを購入しましたがどうやらこれは叶わないようです。
カタログや当時の雑誌の新商品コーナーには「ラッカーフィニッシュ」としか記載がありません。

LQの塗装剥がれの様子

1mmも満たない厚さでペリペリと剥がれそうな印象です。

ラッカー塗装かどうか調べるために、アセトン、ラッカー薄め液、ペイント薄め液を綿棒につけてこすってみました。

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アセトン (色が落ちない)

 

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ラッカー薄め液 (色が落ちない)

 

epiphone_lq_paintthinner

ペイント薄め液 (わずかに綿棒へ色が移る)

この塗装についてはフォーラムにも書かれていましたが、ニトロセルロースラッカーではなく、「アクリルラッカー」のようです。

アクリルラッカーは紫外線による黄変が少ないこと、環境汚染性が低いこと、ニトロセルロースラッカーラッカー同様に薄く仕上げられることがメリットとして挙げられます。
しかし、ひび割れしやすいという欠点もあるようで、打痕によるヒビや塗装剥げの様子をみても実感します。

トグルスイッチノブ(アンバー)

 

epiphone_lq_custom_toggle

コントロールノブポインター付きのソーサーノブ

epiphone_lq_custom_knob

黄色みがかったバインディング

レギュラーモデルの真っ白なバインディングに比べて黄色みがかっています。
ビンテージの風合いを出すため・黄変しにくいアクリルラッカーのため、あらかじめ飴色に調色したクリアラッカーを吹いているとみられます。

epiphone_lq_custom_binding

特に注目すべき点はネックの指板正面だけバインディングが白く、側面は黄色みがかっております。

epiphone lq custom binding

ブリッジ

epiphone_lq_custom_bridge

ポット

ポット、コンデンサーは前のオーナーにより交換されているようです。

epiphone_lq_custom_circuit

epiphone_lq_custom_circuit

 

いままでレスポールはARIAPROIIのギブソン系廉価ブランドBLITZや中国製・韓国製のエピフォンしか持ったことがない自分なのであまり参考にならないかもしれませんが、購入後初めてレスポールカスタムLQを弾いたときにネックの振動をすごく感じたのが印象的でした。
塗装の薄さによるものなのか、ディープジョイントによるものなのか、日本製に由来する造りによるものなのかはわかりませんが…。

サウンドサンプル

演奏には自信がありませんので、楽器店のサウンドサンプルを掲載させていただきます。
前半はドライブサウンド、後半はクリーンサウンドとなっています。

 


今後、使用していき塗装の剥げ具合やカスタマイズなどを報告していきたいと思います。

ひとまず今回はここまでとして、気づいた点は改めて加筆していきます。


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